汚部屋清掃の契約を交わし、いよいよ作業当日を迎える際、依頼主の心には一つの大きな不安が残ります。「作業が終わった後、見積り額以上の高額な追加料金を請求されたらどうしよう」という懸念です。残念ながら、一部の悪質な業者による後出しの追加請求トラブルは現実に存在します。しかし、見積りの段階から適切な防衛策を講じておけば、こうしたリスクはほぼ完璧に回避することが可能です。最も基本的かつ強力な防衛策は、見積り時に「これ以上の追加料金は一切発生しない」という文言を、契約書や見積書に明記させることです。優良な業者は現地調査で状況を把握しているため、余程の特殊な事情(地層の下から隠し地下室が出てくるなど)がない限り、確定見積りを出してくれます。もし業者が「やってみないと分からない」「量が増えたらその分加算する」と曖昧なことを言う場合は、その業者への依頼は慎重に検討すべきです。また、見積りの範囲を具体的に合意しておくことも重要です。ゴミの搬出だけなのか、その後の床掃除や消臭作業、あるいは残すモノの梱包まで含まれているのか。作業範囲が曖昧だと、「清掃は別料金です」と言われる隙を与えてしまいます。見積り時には必ず、作業項目を一つずつ読み上げ、認識のズレをなくしておきましょう。さらに、廃棄物の処分の仕方を尋ねることも有効な牽制になります。「どこの処分場に運ぶのですか」「マニフェスト(産業廃棄物管理票)の発行は可能ですか」と質問することで、業者は依頼主が知識を持っていると認識し、不当な行為を控えようとする心理が働きます。また、作業当日は可能であれば、作業開始時と終了時に立ち会い、見積り通りの人員と車両が来ているかを確認してください。万が一、作業中に業者から「追加費用がかかる」と言い出された場合は、その場で安易に承諾せず、見積り時の合意内容を盾に毅然と対応することが大切です。見積りは単なる価格の提示ではなく、法的効力を持つ契約の土台です。