私の部屋が、いわゆるゴミ屋敷と呼ばれる状態になったのは、仕事のストレスでセルフネグレクトに陥ったことがきっかけでした。足の踏み場もなくなり、友人を呼ぶことなど到底できない状況で、毎日ゴミの上を歩いて寝床に向かう日々に、私は完全に絶望していました。しかし、ある日ふと、このままではいけないと一念発起し、手元にあった自由になるお金、5万円を握りしめてインターネットで清掃業者を探し始めました。もちろん、ゴミ屋敷の清掃相場が数十万円に及ぶことは知っていましたが、私に今出せるのは5万円が限界でした。複数の業者に電話をかけ、「5万円でできる範囲だけでいいので助けてほしい」と正直に伝えました。多くは断られましたが、一社だけ「それなら、軽トラック一台分の回収と、玄関からリビングまでの動線確保なら可能です」と言ってくれる業者が見つかりました。当日、やってきたスタッフの方々は私の惨状を見ても嫌な顔一つせず、手際よくゴミを袋に詰め、次々とトラックへ運び出していきました。5万円という限られた予算の中で、彼らが重点的に行ってくれたのは、悪臭の元となっていた古い弁当ガラやペットボトルの撤去、そして床に固着した汚れの簡易清掃でした。作業開始から三時間後、私の部屋には数年ぶりに「床」が現れました。たったそれだけのこと、と思われるかもしれませんが、私にとっては奇跡のような光景でした。5万円という金額は、私にとって人生をやり直すための授業料のようなものでした。全てを業者に任せることはできませんでしたが、プロの手によって「片付けの土台」を作ってもらえたことで、残りの細かいゴミは自分で処理しようという前向きな気持ちが芽生えたのです。もし、お金がないからと諦めていたら、私は今もあのゴミの中で立ち止まっていたでしょう。5万円という予算は、プロの技を一部借り、自分の生活を取り戻すための最初の一歩として、十分な価値があるものだと確信しています。作業が終わった後のスッキリとした空気の中で、私は久しぶりに温かいお茶を飲み、明日からの生活について考えることができました。5万円で買ったのは、単なる清掃サービスではなく、自分自身の尊厳と未来だったのです。
私が5万円を握りしめてゴミ屋敷清掃を頼んだ理由