ゴミ屋敷の中には、明らかな廃棄物だけでなく、未開封の新しい商品や段ボール箱が天井まで積み上がっているケースが多々あります。こうした状況に至る前兆として、買い物に対する異常な執着が見られるようになります。現代社会において、インターネットショッピングの普及は非常に便利ですが、それが心の空洞を埋める手段となったとき、ゴミ屋敷へのカウントダウンが始まります。毎日何らかの荷物が届き、玄関に未開封の段ボールが溜まり始めるのは、非常に危険な前兆です。買い物依存的な傾向を持つ人は、商品を手に入れる瞬間の高揚感だけを求めており、手に入れた後の「使う」というプロセスには興味を失ってしまいます。そのため、封も開けられないまま放置されるモノが山を成していくのです。これは単なる浪費ではなく、自分をコントロールできなくなっているという精神的なアラートです。また、同じようなモノを何度も買ってしまうことも前兆の一つです。部屋が散らかっているために、以前買ったはずのモノがどこにあるか分からず、探し出すよりも新しく買ったほうが早いという思考に陥ります。この思考の転換は、整理整頓を完全に諦めたことを意味します。洗剤やトイレットペーパーといった日用品の過剰なストック、使う予定のない趣味の道具、流行というだけで手を出した衣類。これらが部屋の床を少しずつ侵食していくとき、住人は「豊かさ」に囲まれていると錯覚していますが、実際には「モノ」という名の壁に閉じ込められつつあるのです。また、買い物の言い訳が自分勝手になっていくのも特徴です。「安かったから」「いつか必要になるから」「限定品だから」という言葉を盾にして、自分の管理能力を超えたモノを招き入れ続けます。この段階ではまだ、自分はただ買い物が好きなだけだと思い込んでいますが、実際にはモノを捨てられない恐怖と、新しいモノを買わなければ不安でいられないという強迫観念の狭間にいます。宅配便の受取印を頻繁に押す生活、部屋の一角を占領する段ボールの壁、そして中身を確認することさえ忘れてしまった荷物。これらはすべて、部屋がゴミ屋敷へと変貌する前の、極めて確度の高い前兆です。モノを消費しているようでいて、実は自分自身の生活空間と精神の平穏が消費されている。その恐ろしい現実に気づかないまま、モノの山は静かに、しかし確実に高くなっていくのです。