最新のテクノロジーを駆使したロボット掃除機を導入すれば、長年の悩みである部屋の汚れが魔法のように解決するのではないか。そんな淡い期待を抱いて、私はボーナスをはたいて高価な最新モデルを購入しました。しかし、箱を開けて輝く円盤状の機械を床に置いた瞬間、私は自分の認識が根本的に間違っていたことに気づかされました。私の部屋は、いわゆるゴミ屋敷の一歩手前、足の踏み場も怪しい混沌とした空間だったからです。ロボット掃除機がその真価を発揮するためには、まず「ロボットが走行できる床」が存在しなければなりません。私の部屋では、床の大部分が雑誌の山、脱ぎ捨てた服、そして得体の知れない小物の数々に占拠されており、ロボットにとっては障害物レースの会場のような状態でした。意を決してスイッチを入れると、彼は意気揚々と動き出しましたが、わずか数秒で力尽きました。床に放置されていた充電ケーブルを吸い込み、車輪が脱ぎ捨てた靴下に乗り上げ、センサーが山積みの段ボールを壁だと認識して立ち往生してしまったのです。スマホに届く「エラーが発生しました」という通知は、まるで私の自堕落な生活を機械から叱責されているような、奇妙な羞恥心を伴うものでした。ゴミ屋敷においてロボット掃除機を導入するということは、単に掃除の自動化を狙うことではなく、その機械が動けるだけの空間を確保するという、人間側への高いハードルを課すことでもあります。皮肉なことに、掃除を楽にするために買ったはずのロボットが、私に「まずお前が片付けろ」という無言の圧力をかけてきたのです。彼は部屋の隅でエラー音を鳴らしながら、私が床にある障害物を取り除くのを待っています。その姿を見ているうちに、私はこの機械を正常に動かしたいという奇妙な義務感に駆られ、数ヶ月ぶりに床のモノを拾い始めました。ロボット掃除機とゴミ屋敷という、一見すると水と油のような組み合わせは、実は私のような怠惰な人間にとって、生活を再建するための強力な「監視役」としての役割を果たし始めたのかもしれません。床が見えなければ彼は動けない。彼が動けなければ、私は清潔な空間を手に入れられない。この単純な論理が、私の止まっていた時間を動かし始めたのです。
ハイテク掃除機が絶望の淵で立ち往生する時